ベーシック・インカムと東京オリンピック
2020年は東京オリンピックが開催され、華やかな年になるはずでした。
オリンピックがなくとも、1990年や1980年の人たちに2020年の話をしたら、人類がテクノロジーで快適に過ごしている近未来的イメージをした人が大方だったのではないでしょうか。
私たちが過去へ行き、
と教えても、誰も信じてくれないでしょう。
まだ、
と教えた方が、アニメのドラえもんやアキラの世界観を連想して信じてもらえたかもしれません。
とにかく、2020年はパンデミックが世界を襲い、人類の無力さや脆さを植え付けられる年となりました。
コロナショックだけでなく、豪雨や震災なども同様です。
ベーシック・インカム導入のタイミング
テクノロジーや医学が進歩したとはいえ、地球(自然)が少しクシャミをしただけで人類は大怪我を負ってしまいます。
誰もが失業するリスクを経験した今年、人類はいっそう結束することを学ばなくてはならない、そう感じるのは私だけではないはずです。
戦後から70年以上続いた失業保険や家賃補助制度のような社会保障の仕組みを根本から見つめ直す時が来ています。時代に応じて社会保障やセーフティネットは変容しなければなりません。
私は10年以上前からベーシック・インカムの推進者です。カリフォルニア州ストックトン市長のマイケル・タブス氏や、国際的な経済学者ガイ・スタンディング氏も同様の考えを持っています。
ベーシック・インカムについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
いま、ベーシック・インカムは世界的に導入の動きにあります。
日本でも遅かれ早かれベーシック・インカムが導入されるでしょう。
アメリカやヨーロッパが導入した後の後発国となるのではなく、先発国となってもらいたいというのが私の願いです。世界に示す次世代型の社会保障を拡充したモデル国家となってもらいたい。
しかし、日本が政治で世界に先駆けてリーダーシップを発揮するとは思えません。
社会保障の歴史が物語っています。
ベーシック・インカムがもたらす公平性
失業しても複雑な申請手続きは不要、就職できても、就職できなかったとしても恒久的に給付されるベーシック・インカムがスタートすれば、人々は身体的にも精神的にも健康でいられます。国民の健康維持こそが政治の役割ではないでしょうか。
よく言われる財源についてですが、現行の失業給付、母子(父子)手当、生活保護制度、そういったものを廃止し、それに関連する役所の窓口、職員を減らすことでかなりの財源が確保できます。
複数の経済学者や専門家がその確保に向けた試算を出しています。ここでは財源についての詳細は割愛しますが、7万円/月(未成年は5万円/月)を無条件で国民に毎月支給するためには約100兆円が必要とされていますが、所得税を30%に上げ、上記の生活保護制度等を廃止にすることで確保することができます。
それでも足りない部分は税金の使途をチェックする民間代表の組織、第三者機関のオンブズマン制度を導入する。その上で増税すれば、正しく、透明性ある税金の使われ方が行われます。
つまり問題は財源ではなく、やるか、やらないかということです。

これは国民の幸福増大、ストレス軽減、健康維持に大きく寄与する称賛される行為です。
ベーシック・インカムの経済効果
アメリカのベーシック・インカム研究班が試算したところ、アメリカ全土で1,000ドル/月支給したところ、2025年までに2.5兆ドルの経済効果があると調査報告が発表されています。
低所得者の消費が活発になり、経済が循環するというシンプルなからくりです。
コロナショックの煽りを受けて東京オリンピックが危ぶまれる中、このタイミングでベーシック・インカム導入の是非を検討すべきではないでしょうか。

東京オリンピックとベーシック・インカム導入の考察
さて、自動的にお金が支給される夢のような話ですが、本当に幻想で終わらせて良いのでしょうか。
私たちの老後や、子どもたち、孫たちの時代も終戦後から変わらない現行の社会保障の仕組みの中で大きなストレスを抱えて生きていくことを想像すると、いまこそ行動を起こすべき時だと感じます。
自動的にお金が支給されると人々は働かなくなるでしょうか。ずっと家で座りっぱなしでしょうか。
その逆です。もっと自信を持って働くようになるのです。これは貢献感は幸福と直結しています。長年ベーシック・インカムを研究してきた経済学者のガイ・スタンディングさんもそのように主唱しています。人は“報酬”だけが目的で働くわけではないということです。

ベーシック・インカムは貧困による犯罪を減少させ、生活保護受給者と貧しい生活を強いられている低所得者の矛盾した逆転現象を解消し、チャンスに恵まれなかった個性的な感性の持ち主が世界的に活躍する応援材料にもなります。
本当はこの国の富裕層上位3%相当に該当する人たちから、「国民のためのベーシック・インカムについて検討している」という動向を示すニュースが聞きたいのですが、いまのところ能動的なアクションは見受けられません。
ビジネスや経済界においては〝ウィナーテイクオール〟で構わないでしょう。それが競争原理です。
しかし、国民のセーフティネットは〝トリクルダウン〟でないといけないのです。
私個人の意見で言えば、それぞれが“個人版のベーシック・インカムを構築すべき”と思います。しかし、政治家が社会保障を考える上でそのような考えを持つべきではなく、そもそも、そんな他人任せの政治家がもしいるならば、それは政治家ではないでしょう。
先述した通り、努力と幸運により富を手にした人たちは、喜んで国民にベーシック・インカム税を納めるべきです。
それは名誉なことなのですから。
まとめ
2000年代、1990年代、または1980年代、今年の2020年がどんな年になると思っていましたか?
そして、2050年はどんな社会であって欲しいですか?
皆さんはどのように感じますか?