社会保障

(図解)「老人ホーム」と「特養」の違い|知っておきたい社会保障

「老人ホーム」と「特養」の違い

どんな人も避けられない老い。

考えたくはないけれど、考えなくてはならない老後のこと。

今回は「老人ホーム」「特養」について説明します。

どちらも、“高齢者が暮らす場所”というイメージがあると思いますが、どう違うのでしょうか。

老人ホーム

「老人ホーム」とは、高齢者が入居できる施設の総称です。

「老人ホーム」の中に内訳がいくつかあって、サービス付き高齢者向け住宅や、ケアハウス、有料老人ホーム、グループホームや、シニア向け分譲マンションなど多様なサービスが展開されています。

それら高齢者がバリアフリーの環境で安心して暮らすことができる施設の総称が、老人ホームです。

特養

2000年(平成12年)に介護保険制度がスタートしました。

「特養」とは、特別養護老人ホームの略称で、介護保険施設のひとつです。

介護保険施設はその名のとおり介護保険証を使って入所することができる施設です。

介護保険施設は3つに分かれ、1つ目は特養、2つ目は老健(老人保健施設)、3つ目は介護療養型医療施設があります。

残念ながら3つ目の介護療養型医療施設は財政の問題から2017年に廃止が決定されました(2024年度末までの移行期間が設けられています)。

なので実質、介護保険施設特養老健を指します。

特養と老健の違い

特養

特養は入所後、退所までの期限がありません。ご本人が希望して退所するか、他界するか、または、退院の目処のつかない入院(常時医療が必要な状態)となるか、いずれかとなります。

“終の住みか”として住民票を移される人も多く、その分入所者の回転は少なく、施設の規模にもよりますが、年間通してベッドが空くのは数床だと思ってください。

そして2015年(平成27年)介護保険法改正により、原則要介護3以上の人が特養への入所要件となりました。

老健

一方、老健はどうかというと、同じ介護保険施設でもこちらは期限があります。入所契約時に退所後の話が出ます。原則3ヶ月までに退所しなければならないと思ってください。

老健の特徴はリハビリ設備があるという点です。3ヶ月リハビリをして、身体、住環境を整える場所と位置付けられています。

特養が要介護3からであったのに対し、老健は要介護度1以上から入所できます。

余談

ここまで読むと、比較的元気な人が老健、自宅生活が困難な人が特養、とイメージされる人も多いかもしれません。

しかし実態は、老健、特養とも施設に入っている人の個人差はあまりなく、むしろ特養の方が元気な人が入所(緊急入所措置などにて)していて老健の方が重度介護者が入所している逆転現象が起きる場合もあります。

建前上は自宅に帰る人が対象の老健も、特養入所までの“つなぎ”の場になっている状況が実態として存在しています。

老健は退所させないとお金(加算)が請求できない仕組みとなっています。逆に特段の理由なく入所させ続けると国からペナルティを受けるリスクもあります。

なので、老健から老健へと転々としながら特養入所のお知らせを待つ特養待機者が全国的な問題となっています。

せっかく慣れてきた頃に住環境を変えるというのは、本人の負担を考えると望ましくはないですよね。でもこれが、この国の実情です。

自分自身はもちろん、自分の大切な人のためにも正しい知識を持って、少しでも安心して暮らせる空間を持ちたいものですね。

  • 「老人ホーム」とはバリアフリーなど高齢者が暮らしやすい施設の総称
  • 介護保険施設は入居時の支度金は必要ない
  • 「特養」は終身「老健」は期間あり
  • 「特養」「老健」の中にも「従来型」「ユニット型」と種類がある
  • 施設の利用料は「介護保険証」「介護保険負担限度額認定証」を役所で手続きして受け取り、施設に問い合わせると月々の費用(概算)がわかる

どうすれば少しでも早期に特養に入所できるのか、特養入所に至るまでの手順を知る必要があります。下記も参考にしてみてください。

介護保険施設にかかる月々の費用

介護保険施設の特養と老健の違いについて説明しました。

介護保険施設の特養と老健ともに入居金は必要ありません

施設、所得によってその差は大きく、3〜4万円/月で済む人もいれば、20〜30万円/月になる場合もあります。

「介護保険証」「負担限度額認定証」があれば、月々にかかる費用を確認することができます。

要介護度と所得に応じた負担段階がわかれば、施設に問い合わせてみましょう。

施設のホームページ等に書かれている費用情報は課税世帯向けの一般的な情報になります。

月々の利用料金

特養・老健ともにタイプは4種類

老人ホーム⇨介護保険施設⇨特養・老健

特養・老健の中でもさらに細分化します。

最も費用の安い従来型多床室や、ユニット型個室など、施設によってことなり、同じ施設内でも個室と多床室がある場合もあります。

先述のとおり、施設のホームページ等に書かれている費用情報は課税世帯向けの一般的な情報になります。

費用の増減は大きく、特に特養の場合は終のすみかにもなることを考え、しっかり確認して申し込みましょう。

まとめ

今回はいざ直面しないと向き合う機会のない老人ホームについてのお話でした。

冒頭にも触れたとおり、“老い”は誰もが避けられないものです。

自分自身はもちろん、自分の大切な人のためにも正しい知識を持って、少しでも安心して暮らせる空間を持ちたいものですね。

  • 「老人ホーム」とはバリアフリーなど高齢者が暮らしやすい施設の総称
  • 介護保険施設は入居時の支度金は必要ない
  • 「特養」は終身「老健」は期間あり
  • 「特養」「老健」の中にも「従来型」「ユニット型」と種類がある
  • 施設の利用料は「介護保険証」「介護保険負担限度額認定証」を役所で手続きして受け取り、施設に問い合わせると月々の費用(概算)がわかる

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グリーンティー→ソーシャルワーカー。新しいテクノロジー好き。時々スピリチュアル。ハーブティー→看護師。トレンドに敏感だけど実はそんなに興味なし。仲良し夫婦のお気楽ブログ。