目標を立ててはいけない
うつ病に罹ったことのある全ての人に伝えたいこと。
それは、〝目標を作らない〟ということです。
元気な人が目標を持つことは良いことです。寧ろ目標を持って生きるべきです。去年よりも今年、昨日よりも明日、というように。私もそうして生きてきました。
しかしうつ病に罹り目標を掲げると、思う通りにならない身体や精神が壁となり、目標を達成できないことに落ち込むことになります。その結果、自己嫌悪に陥ってしまいます。私自身、目標を立てたばっかりに落ち込むことが何度もありました。

意識すべきこと
フォーカスすべきは〝自分の健康状態を意識しない生活〟です。
いま興味のあること、目先の問題に焦点を当て、それに取り組む。
うつ病発症後すぐには無理でしょう。しばらく休んで、少しずつでも前に進めるようになれば、できることからはじめることを意識してみてください。
「部屋の空気を替える」、「一部屋だけ掃除してみる」そういったところからはじめ、ドアの外に出られるようになれば、「外でストレッチをしてみる」、「陽の下でジュースを飲む」など、頭に浮かんだことをやれる範囲で実行する。
決して目標は立てず。そうして〝いまやりたいこと〟を続けているうちに、少しずつ自分の健康状態を意識しないようになります。子どものように、余計なことは考えず、アンテナを心地よい方向に伸ばし、身を移しましょう。

精神科でうつ病は治らない
私は精神科医ではないので、うつ病を発症した人は〝目標を作らず、現在の健康状態を意識しない生活を心がける〟べきなのか、それが医学的に根拠のあることなのかはわかりません。
ただ、私は精神科医が毎回尋ねる言葉に違和感があります。
「いまの状態は、元気な頃と比べると何点ですか?」
現在の処方内容が適切なのか、治療が順調なのかを確認したい意味で尋ねているのがわかるので、穏やかに回答しています。
しかしこれは、うつ病に罹った人に放ってはいけない禁忌ワードです。
不慮の事故や病気で半身不随になってしまった人に対して、「現在の状態は、発症前と比べて何点ですか?」と尋ねているようなもの。
うつ病に罹ったことのある人なら、「元気な頃と比べて」、「発症前と比較して」という聞き方はしないでしょう。
「いまの身体を何%受け入れられていますか?」という聞き方であれば、率直に回答できます。
精神科医とは言え、うつ病の苦悩やハンディをすべて理解しているわけではありません。
うつ病の理解者=精神科医というイメージは捨てましょう。
大丈夫です、あなたも苦しいうつ病を経験して強くなれるはず。
まとめ
うつ病に罹ってしまった人はまず休んでください。
そして少しずつでも動けるようになれば、気がついたこと、頭に浮かんだことをできる範囲で行動してみてください。
そうしているうちに、いまの健康状態に落ち込む時間が少なくなっていくはずです。
決して目標は立てず、目先のできることからはじめてみましょう。
自分が心地よいと思える方向へ。

